
エンジニアリング
TSAL — フォーミュラ・スチューデントの高電圧表示灯
Tractive System Active Light の設計を徹底解説。フォーミュラ・スチューデント車両の高電圧系が生きているかを周囲に知らせる、フルアナログでフェイルセーフな安全基板。
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TSALとは
TSAL(Tractive System Active Light)は、フォーミュラ・スチューデントで搭載が 義務づけられた基板で、車両に近づく人に高電圧のトラクティブ系が危険な状態かどうかを 知らせます。表示は2つ。赤色灯はDCリンクコンデンサの端子電圧が60V DCを超えると 点滅し、緑色灯はすべてのパワーリレー——プリチャージと両方のAIR——が開き、かつ アキュムレータ内の車両側で50V未満が検出されているときにしか点灯できません。この基板は FSG 2023のルールに沿って設計しました。
ラッチ機構と、ルールがそれを求める理由
緑色灯は、通電中の車両を安全だと誤認させては絶対にいけません。故障パターンを一つずつ 追うと、起動時に検出できないケースが2つ残ります。AIR信号が開いたまま固着した場合と、 電圧検出信号が低レベルのまま固着した場合です。この穴を塞ぐためにあるのが、まさに ルールEV4.10.13とEV4.10.14です。対策は、各リレーの実際の状態を、VCUから来る 意図された状態と突き合わせること。これらの信号はSCS準拠なので、GND短絡・電源短絡・ 断線そのものも検出できます。この比較を故障検出に落とし込むのが2つの真理値表で、 リレー用と電圧検出用の2種類です。いったん故障がラッチされたら、低電圧系の電源を 入れ直す以外に解除する方法はありません。
ひと目で読めるフルアナログ基板
すべてディスクリートロジックで構成し、マイコンは使っていません。赤色灯はNE555で タイミングを作り、NMOSでLEDを直接ドライブする、緑側とは完全に独立した回路です。 緑側は4つの安全条件のANDを取り、車載用Dラッチを通します。瞬間的な誤検出でラッチが 落ちないよう、遅延時間は可変にしてあります。診断用LEDが内部信号——ラッチ状態、点灯 条件、故障検出、各リレー、その意図状態、2つの電圧コンパレータ——をすべて外に出すので、 プローブなしでも基板の状態が読めます。記事では、実際のチームが使えるようKiCadの プロジェクトと部品表を公開しています。